Dr. stasia's music library

病棟はりつけDr.のCD備忘録

Asian Kung-Fu Generation / ソルファ

「わたしはアジカンはきかないの」

彼女は言った。邦楽なんて興味ない、と過去に言っていた私も軟化したのか、新世代のカッコイイ音楽を奏でる日本人が増えたのか、Asian Kung-Fu Generation、通称アジカンの「リライト」という曲を、当時私は気に入っていた。付き合い始めてそう間もない彼女が、私の運転する車の中で、アジカンを聴いて言った。

「わたしはくるりが好きだから。」

日本のミュージック・シーンにそう造詣が深いわけではなかったぼくには、彼女のいうことがよくわからなかった。彼女の話では、アジカンくるりと同時期くらいに人気を集め始めたが、音楽性が似ており、それは彼女の好きなくるりが先に始めたことなんだ、ということらしい。

事実を確かめようとしたことはないので、真偽は不明である。それをきいて、自分の好きな曲を一緒に聴いてもらえないことを残念に思いながら一方で、それならくるりを好きになれるかもしれない。また好きな音楽が増えるかもしれない、と少し期待を抱いた。

アジカンの音楽はカッコイイ。エッジの効いたリズムと、疾走感溢れる代表曲「リライト」は聴くほどにカッコイイ。しかし中でもお気に入りなのは「ラストシーン」である。張り上げるような、決して太いとは言えないハイトーンの男性ヴォーカルは、ロックナンバーにはもちろんマッチする。しかしすこし寂しげな曲調にもしっとりと染み渡り、単純ながらも綺麗なリフとあいまって、なんとも穏やかで心地よいのである。

ちなみに私の私見では、アジカンくるりは全く別の音楽性だと感じた。彼女はいまもくるりをきいているだろうか。私が今もときどき「ラストシーン」を聴くように。