Dr. stasia's music library

病棟はりつけDr.のCD備忘録

Megadeth / Rust In Peace

中学2年生の夏であったと思う。

クラブ活動に、夏休み毎日のように学校へ通った。文化系の同好会で、あるテーマについて毎年ひとつに絞り、9月に2日間かけて行われる文化祭においてそれを称えるべく、模型や展示パネルを作るのだ。

「城」である。

生まれ育った町は、関東の城下町であった。いまや廃校になってしまったが、城跡に併設された古い小学校に通っていた私には、丁度よかった。比較的手先の器用であった私は、先輩の描いた畳三畳に及ぶ巨大な曲輪の設計図に従い、黙々とボール紙を切り出して、手のひらに乗るくらいの建物の模型を量産することに熱中した。

とにかく暑い。近年の異常な暑さに比べればまだましであったのだろうが、快適とは言えない制服をきて冷房のない社会科実習室で作業をしていると、いくら窓を開けても暑いのであった。

そんな中先輩はボロボロの巨大なラジカセで曲をかけていた。暑いうだるような空気を震えさせ、突き刺すのは「Megadeth / Rust In Peace」であった。それまで聴いたことのないほどの、速い曲調、キレのあるギター、ギターに全く引けを取らない甲高いようで力強い男性ヴォーカル、全てが新鮮で一気に引き込まれた。

いまとなっては気に入ったバンドがあれば、漁るように他作を買いに走るが、経済的に余裕のあるとは言えない中学生であった私は、暑い夏に毎日同じ「Hangar18」「Tornado Of Souls」の速いテンポに乗りながら、同じようにカッターと接着剤を相手に格闘し、「Lucretia」がかかるのを心待ちにしたのであった。

1990年に発表されたこのアルバムは、黄金期といわれるDave Mustaine、David Ellefson、いまや日本でも有名になったMarty Friedman、Nick Menzaのラインナップで演奏されている。その秀逸なリフはいまだ私の脳に刻まれ、時に思い起こされる。